脳卒中とは
脳卒中とは、脳の血管に障害が現れる病気の総称で、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、あるいは破れる「脳出血」や「くも膜下出血」などがあります。それらによって脳に血液が届かなくなり、突然、脳神経が障害された状態となることを、総じて脳卒中と呼びます。
脳卒中は脳血管障害と呼ばれることもあり、少しでも早く治療することで、救命、あるいは後遺症を軽くできる可能性が高まる非常に緊急性が高い病気です。
脳卒中は原因によって、「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「一過性脳虚血発作」の4つに分けられます。
脳梗塞
脳の動脈が狭窄や閉塞することで、脳の神経細胞に血液が供給されなくなり、発症するのが脳梗塞です。細い血管に動脈硬化が起こり発症する「ラクナ梗塞」、太い血管の動脈硬化による「アテローム血栓性脳梗塞」、心臓で作られた血栓が脳に届き脳動脈を詰まらせる「心原性脳塞栓症」などがあります。
こうした脳梗塞を引き起こす原因となる動脈硬化は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が大きく関わっています。また加齢や遺伝的要因、男性、といったことが危険因子として指摘されています。症状としては、脳のどの部分が障害されたかによって異なりますが、片方の手足が麻痺して動かしづらい、舌がもつれ言葉が出てこない、めまい、ふらつき、などがあらわれます。障害された部分が広いと意識障害を起こすこともあります。
脳梗塞の内科的治療では、血液の固まりを溶かす薬、脳を保護する薬、脳のむくみや腫れを抑える薬、血液の固まりができるのを抑える薬などが使われます。いずれにしても一度脳の血管が詰まると、血流が再開しても障害を受けた脳の部位が元に戻らない場合があります。そのため、脳梗塞の範囲が広がる前に速やかに治療を受けることが重要です。
脳出血
細小動脈が高血圧等により動脈硬化が進行し、血管がもろくなることで脳動脈が破れ、あふれた血液により脳神経が障害されたことで発症するのが「脳出血」です。細小動脈は脳内に入り込んでいるため、出血が起こると脳内に広がってしまいます。すると、脳の中に血液の塊(血腫)ができ、脳の一部が働かなくなったり、正常な部分の脳を圧迫し、障害が出てきたりします。
くも膜下出血
脳の表面を走る主幹脳動脈の一部が膨れてできた脳動脈瘤が破裂し、脳の表面を覆う「くも膜」と呼ばれる薄い膜の内側に出血が広がるものです。脳の表面を瞬時に覆ってしまうように出血が起きるため、脳卒中の中では死亡率が高い、非常に危険なものです。
一過性脳虚血発作
脳梗塞と同様のことが起こりますが、24時間以内(ほとんどの場合は1時間以内)に症状が消失した状態を言います。脳梗塞の前触れとして起こることが多く、そのままにしておくと脳梗塞に至る危険性がありますので、適切な治療および予防をしていくことが非常に重要です。
以下のような症状が見られた場合、
脳卒中の疑いがあります
- 片側の手や足、顔の片側が麻痺したり、しびれたりする(手足のみ、顔のみの場合もあります)、半身の麻痺・しびれがみられる
- 呂律が回らない、言葉が出てこない、他人の言葉が理解できなくなる
- 力は入るが、立ったり歩いたりできない、フラフラする
- 片側の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
- 片側の目に靄がかかったように、突然、一時的に見えなくなる
- 突然、今まで経験したことのないような激しい頭痛がする
重篤な場合は意識がなくなることもありますので、上記のうち一つでも症状が現れた場合、脳卒中が疑われますので、早急にご受診ください。また場合によっては救急車を呼ぶことをお勧めします。