血糖持続モニタリングを開始しました。

糖尿病とは

インスリン注射のイメージ

通常体内の血糖値は、空腹時に70~100 mg/dl、食事をすると血糖値は上がりますが、上限は140 mg/dl程度とされており、これよりも血糖値が高い状態が高血糖となります。この高血糖の状態が慢性的に続くと、糖尿病と診断されます。

血糖値のグラフ

本来、糖分は血液を通して筋肉などの細胞に届けられ、エネルギーとなる非常に重要なものです。しかし、高血糖の状態が続くと、余った糖分が血液中のタンパク質と結合して、強い毒性を持ったAGEという物質になります。この物質は血管の細胞にダメージを与えるもので、血管の弾力性を失わせて動脈硬化を引き起こします。また血栓もできやすくなると言われています。

こうしたダメージは、全身の様々な血管に影響を与えます。大きな血管に動脈硬化などの障害が出ると、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患などを引き起こします。また糖尿病では微細な血管に障害が起こることも多く、「糖尿病三大合併症」とも言われる糖尿病性腎症、糖尿病性膜症、糖尿病性神経障害などに注意する必要があります。

「糖尿病性網膜症」は、網膜を走行する血管に障害が生じ、最悪の場合失明する危険性があります。また「糖尿病性腎症」は、腎臓機能に障害が生じるもので、現在日本で透析に至る原因の第1位となっています。さらに「糖尿病性神経障害」は、高血糖による神経細胞の変化や、動脈硬化による神経細胞への血流が滞ることで神経に障害が起こり、最悪の場合、下肢切断や全身性の感染症など命に関わる場合もあるものです。

糖尿病について

なお糖尿病は原因によって大きく1型糖尿病と2型糖尿病の2つのタイプに分けられます。糖が細胞に取り込まれる際には、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンが重要な役割を果たしますが、このインスリンが、遺伝的要因やウィルス感染などによる自己免疫疾患などが原因で、ほとんど分泌しなくなることで発症するのが「1型糖尿病」です。運動不足や過食などの生活習慣が原因となり、膵臓が疲弊して、インスリンの分泌量が減少したり働きが低下したりすることで発症するのが「2型糖尿病」です。糖尿病の患者様の95%は、この「2型糖尿病」とされています。

糖尿病とは
健康な食事のイメージ

生活習慣に起因する2型糖尿病の治療では、過食、運動不足、ストレス、喫煙・多量の飲酒などの習慣を見直す必要があります。特に過食や偏食、間食、夜食などは、内臓脂肪型肥満に繋がります。内臓脂肪型肥満は、インスリンが働きにくくなる「インスリン抵抗性」をもたらしてしまいます。

逆に筋肉体質ではインスリンが働きやすくなることがわかっており、ウォーキングや体操、筋肉トレーニングを行うなどの運動習慣によって、肥満を防止し、筋肉を付けて、インスリンの働きを高めていくことが重要になります。

当院では、糖尿病に治療においても、患者様それぞれに合わせた食事面、運動面における生活習慣の改善を指導していきます。それだけでは血糖値が十分にコントロールできず、動脈硬化の合併症や糖尿病三大合併症などの発症の危険がある場合は、薬物治療を行います。

使用する薬としては、インスリン分泌を促進したり、インスリン抵抗性を改善し効きをよくしたりする内服薬があります。近年では、血液中に余った糖を、尿として排出することで、血糖を下げる薬もあります。
それらによる治療でも症状が改善しない場合や、手術などを控え早期に血糖値を下げる必要がある、持病のために内服薬が使用しづらい、などの場合は、外部からインスリンを補給するインスリン注射を行います。

血糖持続モニタリング

現在の糖尿病診療はより進化してきており、自宅でも血糖を気軽に24時間持続的にモニターできるようになってきています。
当院でも最新の血糖持続モニタリングを導入しました!

フラッシュグルコースモニタリング(FGM)

フラッシュグルコースモニタリング(FGM)とは、「FreeStyleリブレ®(フリースタイルリブレ)」という医療機器で行うことができる、連続的に血糖値をモニタリングする方法です。
従来の血糖値は1日1-4回測定のたびに針を刺して、得られた血液から計測する必要がありました。毎回痛みを伴うこと、その瞬間のデータしか得ることができないというデメリットがありました。
Freestyleリブレでは、上腕に500円玉大のセンサーを留置し、皮下の間質グルコース値を常時計測します。ご自身でスマートフォン(NFC機能を用います)あるいは専用の読み取り装置を測定器に近づけるだけで、最大で14日間、持続的に血糖値を測定することができます。
これまで、「点」で見ていた血糖値、また「平均」を見ていたHbA1cと異なり、実際の日常生活の中で自分の血糖値がどのようなの動きをしているかを「線」で確認することができます。
使用中の日常生活における制限はなく、食事、運動や入浴も問題ないため、食事の影響や運動の効果、お薬の効果も明確に確認することができます。

血糖持続モニタリング01 血糖持続モニタリング02

FreeStyleリブレのメリット

  • 血糖変動をより正確に把握することできるため、急激な血糖の変化「血糖値スパイク」を確認することができます。
  • 食事制限、運動などによる変化を確認できるため、自分の頑張りがより“見える化”し、治療へのモチベーションが高くなります。
  • 自己血糖測定に比べると針が短いため痛みが少なく、またセンサーは付けっぱなしでよいため患者さんにとって負担が非常に小さくなります。
  • 患者さん一人ひとりにより見合った治療の選択肢を提案するための重要な参考資料となります。

血糖値スパイク

血糖値スパイクは食後の高血糖や、大量のインスリン分泌による急降下で起こる血糖値の乱高下です。血管にダメージを与えてしまうことで、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中による突然死のリスクが高くなると考えられています。健康診断で測る空腹時血糖値の数値には現れないためなかなか発見されず、見逃されやすいという側面があります。
血糖値スパイクを起こしやすい人の特徴として「炭水化物中心の食事をたくさん食べる」「食べる速度が早い」「運動不足」「血縁者に糖尿病の人がいる」などが挙げられます。

血糖値スパイク

FreeStyleリブレの注意点

  • 厳密には皮下の間質グルコース値を測定しているため5~10分のタイムラグが発生します。
  • 急な血糖値の変化があった場合、その変化を反映するまでに少し時間がかかります。低血糖の時には速やかな対処が必要になりますので、低血糖を疑った時などには必ず従来の血糖自己測定を行っていただく必要があります。またブドウ糖を摂取してもFreeStyleリブレでは数値はすぐには上昇しません。
  • 固定テープによる皮膚障害、センサーの脱落などのリスク、センサー装着時の痛み、出血の可能性が全くないわけではありません。
  • レントゲン、MRI、CTなどの検査の際には必ずセンサーを取り外さなければいけない。
  • 持続して血糖を測ることは、常時結果を確認出るという反面、自分の血糖を気にしすぎてしまう場合があります。一回一回の結果にこだわらないようにしましょう。

費用

Freestyleリブレは一部医療保険の適用となっています。
「インスリン製剤などの自己注射を1日に1回以上行っている」場合には保険適応内にて導入することができます。

費用(保険適用)
3割負担で約4,000円+診察料

また当院では保険適応外の方でも自費にて診療を行っております。

  • 現在糖尿病ではないが、健康診断で年々血糖値の数値が上がっているため将来糖尿病にならないか心配な方
  • 食事療法、内服薬のみで血糖管理をしていて、1日の変動を知りたい方
  • 内服薬を変えた直後で血糖がどう変動しているのかが知りたい方

遠慮なくご相談ください。

費用(自費)
センサー代:7,500円(税込)
+別途、診察料、指導料をいただきます。

またFreestyleリブレに関してご質問がございましたら、遠慮なく当院にご相談ください。