高尿酸血症(痛風)とは

高尿酸血症(痛風)のイメージ

尿酸とは、細胞の代謝や体を動かすエネルギーとして重要な「プリン体」を分解したときにできる老廃物です。この尿酸の血液中の濃度が高まり、尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態になると高尿酸血症と診断されます。

尿酸は水に溶けにくい性質のため、血中濃度の高い状態が続くと、針状結晶の尿酸塩となりますが、これが特に足の親指付近の関節に留まると、体が異物とみなして攻撃し(免疫反応)、炎症を引き起こし激痛を生じます。これが「風が吹いても痛い」ほどの激痛であり、「痛風」と呼ばれる病気です。

高尿酸血症の患者は男性が圧倒的に多く、日本人の30歳以上の男性の約30%にみられるとされ、痛風による炎症発作の症状がある90%近くの方が成人男性でもあります。女性が少ないのは、女性ホルモンが影響していると考えられており、女性ホルモンが減少する閉経後には、女性でも高尿酸血症がやや増加する傾向にあります。

腎臓結石のイメージ

高尿酸血症の原因としては、腎臓からの排出量が低下したり、プリン体の過剰摂取によって尿酸の産出量が増加することなどが挙げられます。高尿酸血症自体に自覚症状はありませんが、放置しておくと、痛風を引き起こすほか、尿酸の結晶が腎臓に溜まる「腎臓結石」にもなり、その結石が尿管や膀胱に移動すると尿路結石となって、激痛を伴う発作を引き起こします。また腎臓結石は慢性化すると、腎機能の低下にもつながるため、注意が必要です。

高尿酸血症の改善には食事習慣を見直しが第一歩になります。ビールや鶏卵、魚卵、肉、魚などは、特にプリン体が多く含まれるため、過剰に摂取しないようにしましょう。ビールに限らずアルコール自体に尿酸を高める作用がありますので、飲み過ぎには注意が必要です。一方、水分は十分に摂り、野菜も積極的に摂ることや、軽い有酸素運動をすることも、改善には有効です。ただし、過度な運動、特に無酸素運動をすると、尿酸が産出されやすくなりますので、医師の指示に従ってください。

食事制限のイメージ 薬のイメージ

痛風や腎臓結石などのリスクがある場合には、食事療法や運動療法と並行して、尿酸降下薬等による薬物療法も行います。これらの薬では、尿酸の産出を抑える、体外への排泄を促進するなどの効果が期待されます。尿酸降下薬の使用時には痛風の発作が起こる場合もあり、その際は非ステロイド性抗炎症薬を併用します。